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両親の介護も一段落 双極性2型障害と気長に共生中

「村田エフェンディ滞土録」

今日は母が過呼吸の発作を起こしていた。私の不調も相変わらずで、スーパーまで行く予定をキャンセル。近所の100円ショップで無理矢理に買い物を間に合わせる。ご飯を作ってくれる人が欲しいなあ、と思う今日このごろ。今夜はまた手抜きしてレトルトカレーの予定。

久々にオフラインの手紙を書いていた。手紙とはいってもこのごろはもっぱらワープロになるんだけど…。せめてものことで、便箋をオリジナルのカラーにしてみる。やはりカラー便箋は販売には向かないみたい。作るのが結構手間がかかるし、インクのコストもバカにはならないし。買い込んだ紙をどうするか、しばらく頭が痛そうだが(汗)

でもこの手紙の相手もPCを持っている人なんだよね。だけどまだネットにはつないでいないそうだ。せっかくパソコンがあるんだし、ネットを始めてくれれば、もっといろんな可能性が開ける気がするんだけどなあ。

…とりあえず、強力にお誘いはしておいた。

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「村田エフェンディ滞土録」梨木香歩

「家守綺譚」にちらちらと登場する村田くんの話だというのでとりあえず読んでみた。

およそ100年前にはるばるトルコに留学した若き考古学者村田くんの滞在記。エフェンディというのは学問を修めた人に対する敬称で「先生」というのに近いものらしい。

村田くんの下宿はスタンブールにある。経営するのはイギリスの婦人。集まる下宿人はギリシャやドイツなどの若い考古歴史学者たち。働くのはトルコ人。キリスト教徒もいればギリシャ正教徒もいるし、仏教徒もいれば、回教徒もいるという国際的な下宿。

迷子の鸚鵡が拾われて住み着く。時々ラテン語を話したりする。

村田くんの部屋では時々不思議なことが起きる。壁にゆらめく歴史の幻影。天井裏を走る稲荷の狐、アヌビス神。…でもそこではなにが起きてもふしぎではないような…。そういう場所に下宿はある。

さまざまな国の友と語り、発掘し、感動を分け合い、雪の日には無邪気に戯れて…。

けれどもそういう至福の日々は長くは続かない。危機をはらむ世界情勢。村田君は帰国するが、そののち日本でかつての異国の友人達の戦死を知る。

時を経て、はるばるトルコからやってきた下宿の鸚鵡を彼は引き取る。

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格別に大きな事件が起きるわけではない。けれども丹念に綴られる彼等の日々の移り変わりと心の交流から、失っていくものの奇跡のような美しさを感じさせる、そんな小説。

いかにもドラマチックな物語ばかりではなく、私はこういう日々を淡々と描いていく手法の作品も結構好きなようだ。

漫画家さんだとたとえば、わかつきめぐみさんのような作品。何気ない平凡な日常の大切さ、美しさをシンプルに描いている。いつのまにか気持ちが癒されるとともに、改めて大事なものに気付かされる。

私小説というのとも違うんだけど…。しみじみと伝わってくるものがある。一杯の美味しい緑茶(それも上等の)と和菓子の味わいの幸せになんとなく通じるものがあるような気がする。

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