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「本」が語る過去と未来と…「カムイ伝」

Amazonで「西田幾太郎」の著作を検索したら、かろうじて文庫と新書が見つかった。紙書籍で手に入るうちに買っておこうと思っています。早いうちが良さそうですね。

 

私が電子書籍をあんまり信用(?)していないのは、データだとそれを読み込む端末のことを考えても、その作品が何百年後とかに残っている可能性があんまり(いや、ほとんど)ないと思ってしまうのもありますね。

 

だって古典を思うとそうですよね。最古の文書だって、石に彫られているし、日本の古典だって、例えば源氏物語にしたって、和紙に墨で書かれてきて、多くの人に支持されて写本として書き継がれた結果として現代にまで1000年の命を保っていることを思えばね…。その内容はもちろんですが、作品を支えてきた多くの人の想いとか努力とか容易に想像出来るわけですね。

 

それがなにもかも電子書籍になってしまうと、なにかのきっかけでどう消滅してしまうかもわかりません。そういうふうなテーマのSFも結構読んできたからなあ…。ブラッドベリの「華氏451度」で対象にされたのは紙書籍でしたけど、それがもしも電子書籍だったら、もっとあっというまだなあ、と思います(ーー;)

 

他にも理由は多々ありますが、他のものはたとえミニマムにしても、本だけはそうはならないなあ、と思って…(^_^;) 本の収納に悩むというのは実は結構幸せな悩みなんですよね〜(^_^;)

 

 

 

私の場合、教科書に出てくる文章の一節がすべて読書の入り口でした。それだけ好奇心が強かったというか、現代国語も古典の教科書も入り口だったなあ。「あっ」と思った文章があれば、その作品全部が読みたくなるのですね。「山月記」あたりは短編だから全部が収録されていましたが、其の他は随筆とかは別ですが、長編の一章しか載っていないと、やっぱり全部読みたくなる。

 

中学、高校あたりはずーっとそのパターンが続いていました。ただし、古典は文法とかそういうのは無視です。受験のために必要な知識は個人的には不要でしたので、とにかく読めればよかったの。

 

西田幾太郎も高校時代の現代国語の中で出会った気がします。細かいことは記憶していませんが、私みたいなタイプって珍しいのかもしれません。純粋に好奇心と楽しみで読んでいて、その結果として成績が上がった、というか、それだけですね。


国語と古典以外では生物とか、一般的に「理科」のジャンルとか、「社会」のジャンルに入るものです。これも好奇心と楽しみで読んでるし、地図を眺めるのも大好きでしたから、結果として成績が上がっただけですね。塾とか言ってもつまんないしなあ…と、当時から「楽しくないと身につかない自分」という自覚もありました。

 

あまりこういうふうなことをしている人は少ないのかもしれません。私が欲しかったのは受験の技術じゃなくて、知識欲を楽しく充してくれるもの、だったのですね。それが読書だったのでした。

 

 

 


先日、ヘイト記事の話題の関連で思い出して、再読したくなってヤフオクで購入しました。文庫版「カムイ伝」15巻と「カムイ外伝」12巻です。

 

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まだ開封して確認して、カバーをつけて、「カムイ伝」の4巻まで読んだところです。

 

初めてこの作品を読んだのが中学生の頃、多分、12〜3歳の頃ですね。それ以来ですので、主要キャラクター以外はほとんど忘れていますが、でも当時の心に深く残ったテーマは忘れてないんですよね。いまでも脈々と生き続けています。

 

徳川封建制度の身分差別に苦しむ人々とその理不尽さと、そこで生きる人たちの苦悩などを描いています。重いテーマです。

 

士農工商と言われますが、農民の中にも土地を持てない小作農は「下人」と呼ばれ、ほとんど奴隷のように扱われているわけですね。さらに下の身分があって、「非人」と呼ばれる人たちは(人に非ず、ですよ。ひどいですね)職業を持つことも許されず、人が嫌がる仕事、人間や家畜の屍体の後始末や、処刑執行の作業をさせられて生きています。

 

で、農民や非人たちも決して仲が良くない。その方が上にいる武士や領主には都合がいいわけです。自分たちに目が向かない方がね。

 

それでも「流れる紅い血は同じだ」と気づいて、その身分制度から逃れようとそれぞれの立場で努力するものが現れます。4巻当時、下人の正助はご法度とされている学問を身につけることで、その身分から這い上がろうとし、同時に仲間たちを助けていきます。非人出身のカムイは剣を持ち、強くなることで修行をしていますが、武士以上に強いのは忍びだと知り、その修行も始めています。(のちに抜けるために生涯追われる立場になるわけですが)武士の竜之進は奸計にに会い、お家断絶に追い込まれ、一人逃げ延びて非人部落に身を潜めて復讐の機会を狙っています。

 

彼らの行く末を追ううちに見えてくるのは、現在でもまだそここに残っている差別の問題ですね。

 

この作品が連載されていた「ガロ」とう雑誌が出版されていた「青林堂」という出版社はメンバーがごっそりと入れ替わって、会社の名前だけを継いだ別物になってしまったようです。180度の転身には失望する人も多いでしょう。志ある人は一人も残っていないのですね。もう潰れてしまっていればよかったんじゃないかと私は思います…(ーー;)

 

 

 

 

 

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