こちらのサイトで比較的詳しい要約がされていましたので、
こちらにも転載させていただきます。
http://nixediary.exblog.jp/12423604/
以下、転載します。
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4月14日MBSラジオ小出裕章氏「冷却系ループ案と被曝等について」
メインキャスター(以下「MC」):千葉猛
※完全な文字起こしではありません。
また、誤字脱字等、ご了承下さい。
MC:では、今日も京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんにお話しを伺います。
小出さん、どうぞよろしくお願い申し上げます。
小出氏:こんばんは、よろしくお願いします。
MC:今日は毎日新聞論説委員の榊原雅晴さんと一緒にお伺いして参ります。
早速なのですが、2号機の復水器に高濃度汚染水を入れる作業が行われていました。
660トンも入れたというニュースが伝わっていまして、
少し嬉しい思いがしていたのですけれども、
それに伴ってトレンチの縦坑の一端6cm下がったはずなのに、
また水位が数cm上昇しているという情報がありまして、
一体どうしてなんでしょうか。
小出氏:当たり前ですね。
外部から水を原子炉の中に注入している訳ですけれども、
格納容器の中は決まった体積しかありませんので、
入れた水はどこかから外に出て来るという以外にはあり得ないのです。
それがタービン建屋の1階に、たぶん流れ込んで来ていて、
そことトレンチは繋がっていますので、
トレンチの水位が上がってしまうという事になります。
MC:復水器に入れて、水を除けているはずだけれども、
新たに入れた水がまたトレンチの中に流れ込んで来ていると。
小出氏:そうです。
MC:それが続いてしまっているという事ですね。
小出氏:もう、外部から水を入れて原子炉を冷やそうとする限りは避けられません。
MC:今復水器に水を移している訳ですけれども、
それを今度また別の所に移さなければいけないのですよね。
小出氏:そうですね。
復水器の中にはそんなに入りませんので、
廃棄物の処理施設の方に移さなければいけません。
MC:これからその作業をしていかなければいけないのに、
まず復水器に移すという作業の中で、
水を移しているのに、また水がトレンチの方に流れ込んでいるという
状況に今なっていると。
小出氏:そうです。
MC:小出先生が、確か先日話しておられたと思うのですけれども、
汚染水をリサイクルして原子炉などの冷却水に使うという案が、
政府と東京電力から出てきているのですけれども、
これは建設は数カ月かかるという事なのですが、
具体的にはどういったものを作らなければいけないのでしょうか。
小出氏:もともとは原子炉圧力容器という鋼鉄製の大きな圧力鍋が中心にあるのです。
そこから出て行く配管もあるし、そこに入って行く配管もあるのです。
もし圧力容器と配管が健全であれば、
パイプに水を送って原子炉の中に入れる、
そして出て来た水を、またポンプで原子炉の中に戻す、
そういうループを作る事が出来る訳ですし、
もともとは出来ていた訳ですね。
しかし、もう既に原子炉圧力容器に穴が開いてしまっていますので、
いくらループを作って回そうとしても、もう回らないのです。
入れれば漏れてしまうという事になってしまうので、
ただ漏れた水は、格納容器と言っているもっと大きな容器の底に
落ちて流れて言っている訳です。
ですから、私が提案したループというのは、
格納容器の底から水を汲んで、原子炉圧力容器の中に流す、と。
そうするとまた圧力容器の穴から格納容器の底に流れ落ちて来る訳ですから、
それをまた汲み上げて、原子炉の中に戻すという、
そういうループを作るようにというのが、私の提案です。
ただし、それだけやっていたのでは、熱を除去できませんから、
そのループの途中に熱交換器というものを置かなければいけない、
という事になる訳です。
MC:熱を取り去るものですね。
小出氏:そうです。
海水を熱交換器の中に一方から流して、
熱だけは海水の方に渡すという、
そういうループを作らなければいけません。
いずれにしても、逃れる手段はそれしかないのです。
ただし、今私が聞いて頂いたループを作ろうという提案は、
かなり既にもう出来ているのです。
余熱除去系という設備が、もともと福島の原子力発電所にはあるはずです。
緊急時には格納容器の底から水を汲んで圧力容器の中に流し込むという、
今聞いて頂いた通りのループになっているのですが、
ただその途中には熱交換器がないのです。
余熱除去系というのは全く別の機能も持っていて、
原子炉圧力容器が健全な時には、
健全なパイプから水を引きだして熱交換器を通して原子炉の中を冷やすという
そういうループもあるのです。
ですから、今私が求めている様なループは、完璧にはないのですけれども、
余熱除去系という所を工夫をして、何か格納容器から汲み上げて、
途中に熱交換器を通して、そして原子炉圧力容器の中に水を送り込ませるという
そういうループを作り上げる事が出来れば、
比較的容易にループが完成できるのではないかと、
私は思っています。
ただ、比較的容易というのも、大変な被曝環境の中で作業をして、
新たな配管を取りつける、場合によっては新たな熱交換器に導くという事を
やらなければいけないので、大変な被曝作業になるだろうと、
それが私が気が重い事です。
MC:ではそういった形で冷却をする手段はある事ですね。
小出氏:たぶん東京電力もそれを考えているだろうと、
私は思います。
MC:もうひとつ、今日伝わって来た大きなニュースとして、
国の耐震基準を上回る強い揺れを観測したというニュースが
伝わって来ています。
大変怖い話なのですが、これに関して今、女川原発、そして、
国がしなければいけない事というのは、どんな事でしょうか。
小出氏:こういう事は度々繰り返されて来た訳で、
2007年7月には、柏崎刈羽原子力発電所という所が、
比較的小さな地震だったのに、とてつもない揺れを観測した訳ですよね。
東京電力がこれ以上の揺れはないと言って、
国が認めた揺れの3倍もの揺れが来たという事もありましたし、
浜岡原発でも、小さな地震が起きたら、想定を越えた揺れがあったりしている訳で、
今までの想定がとにかく甘すぎるのです。
ですから、全ての原発でとにかく、
これまで甘く甘く見積もって来たような想定というのを
最低限厳しく見直さなければいけないと思います。
MC:私達今回の事故で、改めてこの強い揺れで耐震基準を上回ったという事に
気が点いたのですが、これまでも何度もあった訳ですね。
小出氏:そうです。
もう度々ありました。
MC:それなのに、実効性のある対策というのが、
きちっと取られて来なかったという訳ですね。
小出氏:耐震設計指針等をその度に改定したりですね、
バックフィットをしながら、また計算をやり直したりという事を
やって来た訳ですけれども、
いくらやっても、またそれを超えるという事態になり、
今回もまた超えてしまった訳ですね。
MC:今回のこの事故に関して、またもうひとつ気になるニュースが
入って来ていまして、
福島の川俣町という所の小学校の校庭の土を調べたら、
放射性セシウムが検出されたというニュースが入っているのですが、
こういった小学校の土だとかに関して、
健康に影響を与えるとして注意すべき国の基準がない、
という事が伝えられているのですが、
こういった事についてはどう思われますか。
小出氏:小学校の土という事に関しては、基準はないと思います。
ただし、放射線の管理区域に指定しなければいけない汚染の密度というのでしょうか、
1㎡あたり何ベクレルというものは決まっている訳ですから、
少なくともそれを上回るような所に人を行かせてはいけないし、
ましてや子供達が遊ぶような所は、そんな事は到底許されないと思います。
MC:このニュースに関して、原子力安全委員会は、
子供は計画的避難区域の基準とした年間20mSvの半分の
10mSv程度に抑えるのが望ましい、という見解を示しているのですが、
この数字に対しては、小出さんはどう思われますか。
小出氏:とんでもない事だと、私は思います。
要するに、日本の国はまず法律で国民を被曝から守ると決めた訳です。
どういう基準かと言うと、1年間に1mSvを限度にして、
それ以上の被曝はしてはいけないと決めたのです。
それは、被曝という事は危険を伴うからこそ、そういう基準を決めた訳です。
ですから、それ以上の被曝は許さないというふうに、
まず国は言わないといけないのですが、
今回の場合はとにかく非常事態だから、もうそんな事は言っていられない、
もう20倍まで許すというような事を、
いきなり限度を引き上げた訳ですね。
それを本当に国民が受け入れるというならば、
まだそれは私としては致し方がない事だと思いますが、
でも、せめて子供だけは守らないといけない、と私は思います。
MC:小出さんから見ると、この10mSvという数字も、
まだまだ安心という数字ではないというふうに感じる訳ですね。
小出氏:もちろんです。
だって、1mSvしか許してはいけないと言っていたものが、
いきなり、子供に対しても10倍まで我慢させるという訳ですよね。
どういう論理を作れば、そういう事が言えるのか、私には理解が出来ないです。
MC:あともうひとつ、これは近畿の人にもちょっと身近な感じのニュースが入っておりまして、
防災対策を重点的に充実しべき地域の範囲という事で、
国の指針が示す原発の半径10kmから、
独自に20kmに拡大する方針を決めたという事なのですけれども、
今回の事故を踏まえて、各自治体はどんな避難計画を作っておくべきだ、
と思われますか。
その最重要なポイントは何でしょうか。
小出氏:私は、原子力発電所がもし破局的な事故を起こした時には、
防災は成り立たないと思っているのです。
今回はまだ福島の事故も、私が思っている破局的な事故にはなっていないのです。
なっていないけれども、もともとは周辺3kmの避難指示をした訳ですが、
それが10kmに拡大され、20kmに拡大され、30kmまでが自主避難とか、
とてつもない酷い処置になって、それでも済まないで、
今度は40kmも彼方の飯館村までが避難させなければいけないような事に
なっている訳ですね。
この程度の事故でもそうなる訳で、
本当の破局的な事故になったらば防災は成り立ちません。
ただし、今回の福島のような事故になった時に、
やはり人々を守らなければいけないというのがある訳ですから、
その時には、もちろん国の言っていた10kmなんていうのでは
ダメだという事が解っている訳ですし、
既に30km、あるいは40kmまで逃さなくてはいけないという事になっている訳ですから、
せめてその程度の事は考えておかなければいけないと思います。
MC:榊原さんはいかがですか。
榊原氏:小出さんに、本当に素朴な事をちょっとお聞きしたかったのですけれども、
このような事故が起きて、日本のエネルギーをどうするかという事について、
本当に抜本的に考え直さなければならない時期だと思うのですけれども、
震災以前から原子力発電をやりましょうという方の中でも、
例えば、ビル・ゲイツさんがもっと新しい形の安全なタイプの原子力開発に
投資をしましょうという、
日本でもお伺いした方の中には、
ウランではなくトリウムを使ったもっと安全な原子力発電というのが可能なのだ、
とお話しをされる方もおいでなのですけれども、
ずっと長い間、原子力の研究をなされて来た小出さんから見まして、
例えば、原子力というものはそもそも人間がコントロールしうるものなのか、
あるいは原理的に人間が扱ってはいけないようなエネルギー源なのか、
そんな辺り、どのようにお考えですか。
小出氏:私は、使うべきでないと思っています。
榊原氏:要するに、安全な原子力発電というのはあり得ないという事ですね。
小出氏:そうです。
そこから電気を送れば良かった訳で、
所が今回福島の原子力発電所で事故が起きている訳ですが、
福島という所は、東京電力の給電範囲ではないのです。
MC:東京電力の電気が届いている範囲ではないという事ですね。
小出氏:はい。
東北電力の給電範囲、電気を配る範囲に、東京電力が原子力発電所を建てて、
東京に電気を送るという事をやっている訳です。
福島第二原子力発電所も、同じく東北電力の給電範囲ですし、
東京電力は他に柏崎刈羽原子力発電所を持っていますが、
そこも東京電力の給電範囲ではありません。
東京電力は沢山の火力発電所を東京湾に林立させていますけれども、
原子力発電所だけは、ついに1機も、
自分の範囲に建てる事が出来ないまま、
東北電力の給電範囲に押しつけて、長い送電線で東京に電気を送ったのです。
それは、原子力を進めている人達自身が、
都会では引き受けられないリスクを原子力発電所は持っているという事を
知っていたからです。
私はそうである限りは、原子力発電所は認めません。
都会に原子力発電所を建てるならば、
まあやってみて下さい、と思います。
MC:はい、解りました。
小出さん、どうもありがとうございました。
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