お互いさま おかげさま ありがとう

両親の介護も一段落 双極性2型障害と気長に共生中

ヤマトタケルのこと

ここのアクセス解析を見ていますと、たまに「ヤマトタケル」でいらしてくださる方があります。ギャラリーの方で好きに描いているので、改めてブログに書くこともないかなあ、と思ったりしていたのですが、たまにはこういう話題もいいかなあ、と(笑)

私の性格からして、たとえば自信たっぷりで強いだけのキャラだったら心惹かれていなかっただろうな、と思います。

凛々しい少年なのに女装すると敵をも欺く美女になってしまうところなど、いかに彼が美しかったか、という想像を逞しくさせてくれますし、叔母の倭媛に嘆くあたりは愛を求める孤独な青年、という感じです。古事記の中では彼はその勇猛な性格ゆえに父の大王から遠ざけられるのですが、その理由がいまいちわからなくて嘆くんですね。

で、彼の身替わりに弟橘媛が入水するあたりからは本当の悲劇の色合いが強くなってきます。最初は見方であった神々も彼の敵になっていくようです。で、遂に故郷に帰りつくことなく最期を遂げるのですが、その魂が白鳥になるという、これまた非常に美しいエピソードで彩られています。

こういうキャラクターが成立する背景には、古代史の中で実際に故郷に帰ることなく死んでしまった多くの王子の存在や、政治的な体制に組みいられることなく、これまた悲劇の死を遂げた大津皇子有間皇子などの生涯も反映しているようです。

それと共に王子達ともろともに亡くなった多くの若者達への鎮魂の想いも内在している、という見方をされたのが吉井巌さんで、私は二十数年前に読んだこの人の研究書にかなりの感銘を受けたのでした。

非情な運命のままに死地に赴き、故郷に辿り着くことなく亡くなった多くの若者達。そういう彼らすべてに対する鎮魂と永遠に刻まれる青春の象徴として、私にとってのヤマトタケルは愛おしい存在なのでした。

実在の人物でなくてもいいんです。愛されながらも死地に追いやられる、そういうキャラクターを生み出して、それを語り続けて行った多くの人々の想いに共感してしまって、そういう人たちが愛し続けてきたキャラクターをこれからの後の世にもしっかりと伝えていきたい想いも大きいのでした。

うん、だからこれからも語り部をやりたいですね。私の力はあまりにもわずかではありますが。愛情だけはきっと誰にも負けないなあ、とちょっぴり自負もあるのですね(笑)

Copyright (C) 2001-2018,Haruusagi All rights reserved.