弟が離婚した時
2002年のお正月、母方の実家に里帰りしていた義妹に弟が「この病気は良くなりそうにないから離婚の話をしてきて欲しい」と言いました。お互いに喧嘩したとかではないんですが、当時はまだ双極性障害という診断がついていなかったこの病気。
弟はさらにその20年近く前から、パニック発作にも悩まされていました。そのために職場も変わったりした後です。(まあ、私も似たようなものでしたが…)
弟夫婦が離婚した時、姪は中学2年、甥は小学5年生でした。まだまだお金がかかる時です。それゆえに本来ならば弟が養育費なるものを送るのが筋なんですが、弟はかなり病気が重い状態でしたので、かわりに父と母(つまり祖父母)が決して多くはない年金の中から、養育費という名目ではありませんが、毎月のお小遣いや衣料費、誕生日のお祝い、進学祝いなどなど、私が買い出しに行くお菓子の山と同時に年金の入った時に送り続けていたんですよね。
それ以外にも夏休みにクラブの合宿だと聞けばそれの費用とか、姪が受験のために冬季塾に通いたいと言えば、その費用とか、たまにこちらに遊びに来れば、交通費やお小遣い、お土産代などなど、とにかく子供たちにあまり不自由な思いはさせたくない、という気持ちで、父が脳梗塞で寝ついてからも母はせっせと送金を続けてきました。
母が言うには、そもそもまったくの想定外に甥が宿った時に、弟はかなり良くない状態でしたので、生むかどうか、義妹に相談されて、「育てるのはなんとしてでも育てられるから、生んだ方がいい」と言ったんですよね。その自分の言葉に責任を感じてた、というのかな。ともあれ、せっせと送金を続けてきて、それでめでたく甥も姪も成人して社会人になりましたし…。
あちらの親戚の手助けやご好意や、もろもろ多くの愛情に助けてもらったおかげだと思っております。 おかしな方向にそれることもなく、姪も甥も、本当にいい子に育ってくれました。
生きたお金の使い道
のちに母が送金した金額を数えていましたが、軽く何百万、メモに残っていないものも含めるとさらに大きい金額になりますね。おそらく1,000万近く。まあ、うちに貯金がないわけ、さらに現在も貧乏なわけがわかりますね~(^^;) 父が要介護状態になってからは、マジでお米代に困ったこともありましたしね(ーー;)
でも、身近にいれば、行為で示せる愛情はいくらでもありますが、離れていると、やはりお金でしか届けられないこともあると思うんですよね。
結果的に本当に「生きたお金の使い方をした」という意味で、うちの家族に後悔はありません。これは母の友人のTさんにも言われました。「あんたのお母さん、生きたお金の使い方をしはったなあ」と。
当然見返りのようなものもまったく期待しておりません。あとは子供たちがそれぞれに自分の人生を大切に生きてくれたら、それで充分ですし…。子供への投資は未来に投資するのと同じですよね。
二人とも多くの人を助ける職業に就いてくれたことが一番嬉しいかな (^_^) 姪には二人目の子供も生まれましたし…。
「三流大学に行くくらいなら、高卒で就職する」というセリフはうちの両親から私や弟から三代続いています。そういう選択になるから面白いですね。変なところで価値観とセリフが同じだ。まあ、甥も姪の夫も地方公務員だからそれでよかったと思いますし…。
うちの両親が見事に孫たちにお金を使い果たしてくれたおかげで、現在貧乏なんですが、まあ、なんとかなるように私が頑張ればいいのかあ…。築53年(くらいかな)のボロ家の修理は大変ですけどね… (^_^;)
根をおろすためには意思の力が必要だね
子供たちも遠く離れていたからわからないことも多かったですが、母や私が現在に至るまで、比較的マメに連絡を取っていたために、ずーっと繋がりがあります。血縁もあるし、それだけじゃない「ご縁」を私は感じるので、もうしばらくは遠くで見ていたいなあ、と思います。
あとはたんぽぽの綿毛で、飛んでいったもうひとつの故郷で根を降ろして花を咲かせてくれればそれで充分ですし…。
世の中の一人親家庭が大変なのはよくわかるんですが、ここまでやろうと思ったこっちの祖父母もやっぱり愛情以外のなにものでもないよなあ、と思います。
それなのに、弟が母を恨むのかが全然理解不能なんですよね。そもそも自分の子供たちにも関心が薄いし…。結婚すべきじゃなかったのは弟のほうかもしれません。でもそうしたら甥も姪も存在しないわけで、それはすごく寂しいから、やっぱりよかったのかな?
うーん…。人生って不思議だ。家族に関わるご縁は自分の意思と言うよりも共感とか同意とかで左右されますが、一度結んだ縁というのは、やっぱり自分の意思で方向を変えることが出来るんですよね。
努力しないと縁の糸も切れてしまうし、そうならないようにまわりが協力してくれたら、より力強いものになるし。
赤い糸じゃなくても、そういうふうに補強されていく結びつきってあるんだなあ。
うん。そういうことを考えると日々のやり甲斐を感じますね (^_^)