今は昔のお話です。
当時10代後半だった私は描きためたモノクロアナログのイラスト原稿の束を抱えて、1軒の小さな会社の前に立っていました。
当時の私は自分の原稿を本にしたいと思いつつ、具体的にどうすればいのかがまったくわからず、住宅地図で見つけた隣の町内の会社にいきなり相談に行ったんですね。なんの情報もありませんでした。会社の名前に「デザイン○○」とあったのが頼りです。
いきなりお邪魔したにも関わらず、その原稿を丁寧に見ていただいて、こういう印刷は自社ではやっていないけれども、別のところで扱っているところもあると思うので、頑張って描いてください、と言っていただきました。
以後、私は洋裁を習ったり、医院に勤務したりして相変わらず漫画やイラストを描いて、ファンジンっぽい雑誌を見ながら、同人誌印刷の情報や方法を集め、模索しながら勉強を続けていました。
勉強と言っても、好きなこと「本を作る」という目的があるから、全然苦にはなりません。気がつけば紙の種類は一目見ただけでわかるようになり、触れば厚みもわかるようになり、面付けやらなにやら、かなり詳しいことをマスターしていました。
ちなみに私は美術系の学校を出たわけでも、デザインを専門的に学んだわけでもありません。「同人誌製作」という過程でDTP(まだ当時はアナログですが)をいつのまにか身につけていたようです。
最初、突然デザイン会社にお邪魔してから10年以上、12年くらいかな、経過していました。
その時私はあちらの事情で医院勤務を辞めて、家で体調を整えながら、原稿も描きつつ、次の就職先を捜していました。
で、あのデザイン会社の名前を見つけたのは、地元の情報誌だったような気がするんですが、とにかく求人が載っている。デザイン的なことも多少なり出来るから応募してみよう、ということで、早速応募。で、面接。あっさりと採用。「まだあの時の絵を続けて描いてはったんやね」ということで…。
12年経っても相変わらず続けている、という点が評価されたみたいでした (^_^;)「継続していること」が価値があって、他人様に認められた初めての体験でした。
「そうか、継続はやっぱり力になるんだ」と実感した最初の経験だったかもしれません (^_^;)
そこには結局10年あまり勤めました。辞めたのは会社の都合でしたけど、辞めてからもMac触りたさに土曜日なんかに臨時の仕事があるとヘルプでアルバイトに行っていました。お金じゃなくて、とにかくMacに触りたい一心で。
10年の後半はMacが導入されたデジタルの時代になるわけですが、私はよほど相性がよかったのか、Photoshopよりも当時はIllstratorがメインだったけど、MacでDTPをやっていました。新しいことをやるのが楽しい時代でした。(すでに30代の半ばだったけどね)
結局、同人誌活動をする中で身に付いた知識って、わりとすぐに役立つ知識なわけですよ。すごく実践向き。あれは立派なスキルになると思います。
私の場合は販売などは東京の友人達にお任せしていましたが、通販なども自分でやっていたから、これまたそちらの知識も実用向きですね。近所の人が「これって定型でいける?切って持ってる?分けて」と来られたりとかね。
コミティアあたりですと、展示即売会があるわけで、まわりのサークルさんがフルカラーイラストメインの展示の中で、「うちだけモノクロだったけど、逆に目立ってたよ」友人作のものすごい点描とかあったもんね。かなり好評いただいたみたいです。
なにもかもが楽しくて勉強になって、しかもしっかりと実用的に身に付く。
漫画やイラストが描ける方がやらないのはもったいないと思います。描くことにまつわるあらゆることを楽しいと思えるのなら、迷っていないで始めてくださいね〜 (^_^)