いろいろと都合がいい、とかその他の理由で、親に介護が必要になった時、独身の娘、というのはしばしば主介護者になるケースが多いです。ある意味、親族や社会に便利に使われているような感じですね。
でもさ、独身の娘はよほどしっかり自分自身を持たないといけない、と私は思っています。
十数年前、私は某土木設計事務所で働いていました。そこへ季節外れにパートで入ってきたのがAさんです。当時40歳。
勤めるのが初めてだったそうです。それというのも姉達は既婚なので、独身の自分が20代、30代と両親の介護をしてきて、やっと両親を見送って、それから職業訓練でパソコンを習って、初めて勤めたということでした。得意なのはエクセルだったようですが、なにしろ会社ですので、エクセルだけをやっているわけにはいかず、ましてや設計だから図面も見ますし触ります。
Aさんにはそれが想定外にストレスだったようです。吉本新喜劇が好きです、と言っていた彼女はわずか1週間で辞めてしまいました。初めての就職が想定外の内容で自信喪失したのかな??
その後の彼女がどうなったかはわかりませんが、どこかで自分にちょうどいい仕事に巡り合っていて欲しいと願っています。
(ちなみにこの会社、私も1年勤務しただけで、社長と喧嘩して辞めましたが)
うちのご近所、ほんの数件隣に住んでいたBさん。
やはり独身で、お母さんは早くになくなって、自宅で長いあいだお父さんの介護をされていました。おそらく外で働かれた経験はないと思います。お父さんがいくらかお金を持っておられたようで。
やがてお父さんが亡くなられ、その数年、1人で暮らしていたBさんですが、町内会の役員をしていたときに「このあいだ帰り道がわからなくなって…」と言われていましたし、みんな心配はしていたんですが、結局まだ60代でアルツハイマー型の認知症だったと思います。
別に住んでいるお兄さんの家族が彼女を入院させました。今の病院はどこも長くいられません。3ヶ月単位くらいであちこちの病院を転々とされてたようです。ごくたまに外泊かと思われる日がありましたが、お兄さんの家族ではない人が付き添い、悲鳴や叫び声が近所にも聞こえていました。
それが3,4年続いたのかな?転々としたあげくにBさんはどこかの病院か施設でひっそりと亡くなられたようです。現在は更地になっているBさんの家の跡を見ると、彼女の人生ってなんだったんだろうな…と、考えずにはいられなくなる私です。
家族のために自分が犠牲になるというのは美しいようですが、やはりはっきりと間違っています。介護に心を配るのと同様に、自分自身のこともしっかりと考えないといけない。自分を支えることが出来るのは自分だけですし。
母を特養に入れると決めるまではえんえん何ヶ月も悩んだ私ですが、いまは吹っ切れました。まだこの先も生きないといけない自分のことを母と同じくらい考えたいと思います。
親亡きあとの自分の人生をしっかり生きることも、やはり別の意味では親孝行じゃないかな、と思います。
親に介護が必要になった時、ホントにギリギリまで現在の仕事は辞めないでください。もしも辞めたら、二度と同等の待遇の職場には戻れません。それどころか再就職も怪しいです。
日本はそのあたりがまだ全然考えられていません。だから親を施設に入れてでも仕事を犠牲にするべきではないし、健康面はもっと死守するべきです。痛い教訓です。