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両親の介護も一段落 双極性2型障害と気長に共生中

さらば靖国ー静かに眠らせて

私の父には11歳年上の兄がおりました。つまり私には伯父にあたる人です。この伯父には実際に会ったことはありません。遺影で顔を知るのみです。二十歳そこそこで若くして戦死したからです。生きていれば90代ですね。

ニューギニアのホーランジャという地で亡くなりました。死因はよくわかりません。あるいは病死か餓死だったかもしれません。終戦後、遺骨収集団の人たちが何度か当地に行かれてますが、遺骨は見つからず、伯父の墓所には臍の緒をニューギニアの砂がかわりに埋葬されていました。

で、まあ、慣習的に靖国神社に祀られています。しかしながら靖国神社にお参りしたことがあるのは祖父母のみで、それも一度きり、さすがに私も生まれていない昭和30年ごろのことだと思われます。私はその話を祖母と母から聞いたのみです。それ以後は誰も靖国には行ったことがありません。

昔の人で、それなりに信心深い祖母などは、伯父の供養も年忌もきちんと仏式で行っていました。わざわざ靖国まで行く必要もないし、それで充分だと判断したと思われます。祖母は満足な教育も受けていない人ですが、自分の息子がどこにいるかはなんとなくわかっていたと思います。晩年になっても靖国神社関連のニュースには取り立てて深い関心を示すこともありませんでした。

まあ、伯父ですから、私も遺族の一人ではあるわけです。だから毎年政治家が「靖国神社参拝」云々で物議を醸し出すたびに非常に苦々しい思いをしています。ホントに慰霊や鎮魂の気持ちであれば私人としてひっそりお参りすればいいことですし。

わざわざ公人として集団で行くのっていうのはあきらかに慰霊と鎮魂以外の目的かアピールがあると思われても仕様がないよなあ、と思います (ーー;)

マジで迷惑だから、出来ることならほっといて欲しいというのが正直なところ。クールジャパン政策だなんだと言いながら、国民が地味に地道に築いてきた文化的かつ友好的な関係を、つまらないことで大挙してぶっ壊していくのが政治家の人たち… (ーー;)

正直に怒っているのだ。民主党にも怒っているけど、自民党にも怒っていることに変わりはないのです。いい加減にそっとしておいてよ、というのが遺族としては最も多い気持ちじゃないかと思います。

うちの伯父に関して。父の病気が長引いたころ、天井をじーっと眺めていた父が「…にいちゃん…」とつぶやいたことがありました。

母の兄に対しては「兄さん」と呼ぶ人でしたから、「にいちゃん」は戦死した伯父のことでしょう。迎えに来てくれたのかな?…だとしたら、父の寿命はもうあまり長くないかもしれない…と私は感じておりました。

実際にそれから数ヶ月くらいだったようにも思えます。

やはり伯父も決して目標を誤ることなく、自分の役目をきちんと果したんだなあ、と思いました。

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