小出先生のお話は首尾一貫していますし、ずっと聞いていたら、
そもそもの根本的なことがすごくよくわかると思うんですが…。
そのあたりがなかなか理解出来ない人が少なからず存在するというのは
私個人には非常にもどかしかったりするのです… (ーー;)
しかし、めげずに今日も以下より転載させていただきます。
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/07/13/tanemaki-jul-12/
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7月12日 食品安全委員会が決めた基準値の科学的な客観性について小出裕章(MBS)
内容書き起こし
(水野:小出さんこんばんわー)
小出:こんばんわ。
(水野、平野:よろしくお願いいたします。)
小出:こちらこそ、よろしく。
(水野:今日はまず、食品の放射性物質の基準値というものから伺いたいと思います。)
小出:はい。
(水野:今回、牛肉から基準値の7倍近いセシウムが検出されたということ、非常に大きなショックを受けている方も覆いと思います。わたくしもそうです。あるいはこの牛のエサにしていた藁から、基準値のおよそ60倍ほどの放射性セシウムが検出されたというふうに、この基準値という言葉がよく出てきますよね。)
小出:はい。
(水野:この基準値という物そのものがどれだけの、科学的な客観性があるものなのかどうか、教えていただきたいのですけど、いかがでしょう。)
小出:全く意味がありません。
(水野:全く意味が・・・ありません)
(平野:意味が無い)
(水野:でも私たちはその基準値の何倍だっていうことによって大変ショックを受けているわけなんですが)
小出:もともと間違いです。
(水野:はあー、それはどういう意味での間違いでしょうか)
小出:放射線に被曝をするということは、どんな意味でも危険です。たくさん浴びれば危険です。どんなに微量でも危険です。ですから・・・どこまでで・・・安全なのかどこまでで危険なのかということで線を引くのはサイエンスの側から言えば出来ません。ですからそれは社会的に、そこまでなら我慢ができるか、あるいは我慢をさせるしかないかというそれだけの線引きです。
(水野:まあ実際はそれをもって市場に出回らせるかどうかを決めていくことになっているわけですけれども)
小出:そうですね。
(水野:この基準値というのは平野さん、3月17日に決められたものなんですね)
(平野:これあの内閣府の食品安全委員会に17日に決めた、なにかこう作為的なことがあるような気がするんですけれども。というのはあの、まあいろんなデータでてるんですけど例えばウクライナのチェルノブイリの近くのデータあの基準値より飲料水が100倍程ゆるいと。)
小出:はい。
(水野:あのすいません。日本とウクライナと比べたときに飲料水、これ以上の水準で放射性セシウムがだめですよという数字が、日本のほうがゆるいんですか?)
(平野:ゆるいという。しかも3月17日に全て例えば野菜とか、野菜は7倍とか、肉類は2.5倍ゆるいと。)
(水野:ウクライナに比べて、基準値がゆるい? それを決めたのが3月の17日ということは、もうすでにメルトダウンしていた時期ですよね)
(平野:だからもうすべてわかった上で、これはもう原子力安全委員会の指標に基づいて内閣府の食品安全委員会がこの日に決めたということですから、もうだいたい状況ワ語っているはずなんですね、政府は。)
(水野:これは小出先生はどう見られますか?)
小出:おっしゃったとおりだと思います。要するに全てわかったままでこういう基準で行くしかないということを多分彼等は認識したんだと思います。
(水野:じゃあウクライナに比べて日本のこの基準値が随分ゆるい。例えば飲料水で行きますと100倍もゆるい、というのはよくわかった上で決めてると)
小出:100倍がゆるいかどうか私には、私自身もその数字を知りませんけれども・・・多分どうしようもない状況におちいりつつあるということを知りながら、その基準を決めたと思います。
(水野:飲料水でいいますとね、ウクライナの値は1kgあたり、2ベクレルというのが
小出:そうでしたね。
(水野:基準ですね)
小出:はいはい。それが本当かどうか私は知らないのですけれども、そういう事だと言われているのは聞いています。
(水野:日本の場合はですね、セシウム134と137の合わせた値において、200ベクレル。)
小出:そうです。
(水野:つまり100倍という開きがあります)
小出:そうです。
(水野:この数字自体は小出先生にはどう見えますか?)
小出:ええまあ、私はずうっと前から3月11日で世界が変わってしまったと聴いていただいてきましたし、もうどうしようもないことなんです。その日本という国で生きる限りはそういう基準を受入れなければ福島県が失われてしまうというそういう状態におちいっているということです。
(水野:つまりウクライナと同じ基準に例えばするとしますね。市場に出すかどうかという基準を設けるときに。そうすると、今のような状況ではなく、本当に原発に近いところのいろんな産業がもっともっとしんどいことになる意味を恐れていらっしゃるのですか?)
小出:はい。要するに日本の国がそれを恐れているのですね。私も本当にそういう事に日本という国が耐えられるのだろうかというふうに考えると、出来ないかも知れないと思ってしまう。そんなことを起きる前にやめさせたいと思ったわけですけれどもやめさせられなかったわけです。
(水野:ただ現在こうなってしまった以上ですね、基準値を決めざるをえないかと思いますが、その基準値の値がこんなにウクライナに比べてゆるいというこの状況でいいと思われますか?)
小出:全然思いません。ですから私はその基準はもっと厳しくなければいけないし、特に責任のない人たちを守らなければいけないと思いますので、もっと極め細やかに政策を作らなければいけないと私は思います。
(水野:じゃあなにかこういう基準でやればいいという、なにか世界にはベースになるようなものはあるんですか?)
小出:ありません。
(水野:ないんですかー・・・)
小出:はい。要するにその、放射線というのはどんなに微量でも危険なのですからどこまでを受け入れて、どこまでを受入れられないということは、それぞれのところで自分たちで考えるしか無いし、今それが私達に問われているというそういう事です。
(平野:でも残念ながら国民全体の高意識というのが、まあ被災地福島周辺以外はあまりこう危機的なその状況という意識を持ってないですよね。)
小出;そうです。おっしゃるとおりです。大変残念だと思います。
(平野:そうですね。あの、今日たまたま夕刊で厚生労働省が3月から6月のですね、食品の放射線量の増加推計値というのを公表してるんですけれども。食事で被ばくした人はですね、年25%増というこれもあの、と利用によっては多いなあと思うんですけれども、先生から見たら少ないかもわかりませんけれども。今まで食事で被曝するという言葉自身がですね、一般国民にとってはあまり馴染みのない、あのーまあ体験なんですけども。この25%増というのを私なんかは、ああ、すごい数字だなあと思うんですけども、それだけ先生のおっしゃる広がりっていうんですかね、放射能汚染の広がりを示してる数字じゃないかなと思うんですけどね。)
小出:おっしゃるとおりです。ずーっとこれがこれから受け入れるしかなくなってしまうのですね。でもその一律に25%ということを受け入れるのか。子どもはなるべく減らして大人が受け入れるのかということは、私達自身が、あの制度さえ作れば選択できるわけですから、そうしたいと私は願っています。
(水野:あの今日牛肉の話でですね。いろいろな専門家があちこちでしゃべっていらっしゃるのをわたくしも見聞きいたしました。でそういうかたが多くおっしゃいますのは、1日にこの値でのセシウム、検出されたセシウムを含む牛肉を1日あたり何グラム食べるとして、でそれが1年、まあかけ算するわけですね。そうするといくつの値になる、だから心配はないんだという方、多いように見受けられました。ここの計算式、この考え方について小出先生はどう思われますか?)
小出:はい。もしそう思われる方がいたらそのかたが食べてください。で私は東京電力の社員食堂は是非ともそういう食材でやって欲しいと思いますし国会議員の議員食堂もそういう食材でやって欲しいと思います。
(水野:わたくし思いますのは、その牛肉を毎日食べるかどうかは別としまして、他にも野菜もね、魚も、色んなもの、水もそして空気も、いろんなものを複合して私たちは被爆せざるをえないわけですよね。で、このことを受け止めないで牛肉だけのけいさんで大丈夫かどうかを論じることはどうなんだろうと思うんです)
小出:そもそも間違っています。
(水野:はあー。もうこの考え方自体が、間違っているんですね。数字がどうのこうのの前に)
小出:元々だから放射線に被曝することが危険だということが分かっているんですから、放射性物質を含んだ食べ物を食べること自身は、本当はやってはいけない、のです。でそれでも安全だというのであればその方が、やっぱり食べたほうがいいわけだし、責任がある東京電力、国会議員の方々、その方々がまず食べてから、そういう発言をしたほうがいいと思います。
(水野:それから確か小出先生はストロンチウムという放射性物質が人間の体には非常に影響を与えやすいものだとおっしゃったかと思いますが。このストロンチウムを規制する値というのは今はあるんですか?)
小出:今はありません。
(水野:まだないんですよね? はあー。その食品の・・・)
小出:あっ、そのー、えーっと日本の法律で、例えばその、飲み水の中にどれだけストロンチウムがあってはいけないというそういう法律はありますので、それを厳密に適応すればいいと思います。
(水野:はあー)
小出:それをゆるめて、あのセシウムに関してはもちろんあるわけですけれども、そんなことは守れないので、いう事であっという間に1キログラム当たり500ベクレルとかいう基準をセシウムに対しては作ってしまったわけですね。それ自身は私はけしからないと思いますし、ストロンチウムに関してもそんな基準を作ってはいけないと思いますので、少なくとも現在の法令を守れるようにすべきだと思います。
(水野:現在の法令を守るようにしたら食べられるものはたくさんあるんですか?)
小出:多分、えーこれはあまりいいたくないけれども、福島でとれるものは多分無いと思います。
(水野:しかしながら福島の生産者の方々を守らねばならないですからね)
小出:そうです。必ず守らなけれないけない。
(水野:それも私たち一緒にこのエネルギー政策で生きてきた人間の責任だというのが小出先生の考えですよね。)
小出:そうです。
(水野;はい。どうもありがとうございました)
小出:ありがとうございました。
(水野:京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生に伺いました。)
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