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両親の介護も一段落 双極性2型障害と気長に共生中

福島大授業開始について;小出さん回答

個人的なことですが、私の従兄が福島大学に勤務中ですので、

ちょっと気にしていたらたまたま見つけました(^^;)

小出先生に質問されているあたり、賢明ですね。

やはり学生さんたちの方が影響が大きいので難しいですが…。

http://ameblo.jp/datsugenpatsu1208/entry-10855633185.html

以下、転載します。

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福島大授業開始について;小出さん回答

2011-04-08 19:53:25

中里見 博 様

 福島大学での講義に関して、私の意見をお求め下さり、ありがとうございます。

 個別のご質問次項に対して、以下に記します。

Q.1

福島大学では、5月はじめに授業開始を予定しているのですが、学生および教職員の安全と健康の観点から、5月授業開始という決定は、どのようなリスクを伴うものとお考えですか?」

 ご承知のとおり、放射線被曝することはたとえ微量でも影響があります。国際放射線防護委員会(ICRP)のリスク推定によれば、積算で1万人・シーベルト当たり500人がガン死するとなっています。ただ、この推定は科学的に確定していない線量・線量率効果なる効果を使ってリスクを半分に値切っており、原爆被爆者データを使えば1万人・シーベルト当たり1000人とすべきです。つまり、積算で10人・シーベルトになると1人がガン死するということになります。

 お知らせくださった福島市ならびに福島大学構内の放射線の線量率はおおむね数μSv/h程度のようですね。通常の環境であれば、0.05μSv/hですので、数倍から1桁程度高い値になっています。仮に2μSv/hの場所に1日5時間、月に20日居るとすれば、その間の被曝線量は200μSv、つまり0.2mSvになります。

福島大学の学生数を私は知りませんが、仮に5000人の学生が上に仮定した被曝線量の場所に居るとすれば、被曝の総量は1人・シーベルトとなります。つまり、学生のうちの誰か一人が将来ガンで死ぬ確率が10%ということです。

 ただ、私自身は米国のJ.W.Gofmanさんの評価が正しいと思っており、Gofmanさんの評価によれば10人・シーベルト当たり白血病も含めて4人がガン死することになります(J.W.Gofman, “Radiation and Human Health”, Sierra Club Books(1981)、邦訳「人間と放射線」、社会思想社(1991))。つまり、ICRPによる推定の4倍の被害です。

 ただし、放射線に対する感受性は年齢で異なっており、年が若い人たちは感受性が高く、歳をとるに従って感受性が低くなります。その点を、Gofmanさんの評価を図にして最後の頁に貼り付けておきます。平均的な放射線リスクはほぼ30歳の方が受けます。20歳くらいの学生であれば、平均に比べて約2割感受性が高いです。一方、年齢が50歳を超えるようになれば、感受性は数十分の一に減ります。歳のいった教職員の方々であれば、被曝の危険は先の評価より大幅に小さいものとなります。

Q.2

「仮に5月開始を実行した場合、学生に対する対応・配慮として、最低限いかなることを大学は行なうべきとお考えですか?」

 添付文書は空間ガンマ線量に対しての外部被曝についての評価です。

 今後の事故の展開にもよりますが、もし放射性物質が流れてくるような事態になるのであれば、むしろ内部被曝が重要になると思います。

 そのため、マスクの励行や、皮膚の露出を避けるなど、周知することが必要と思います。

Q.3

「同じく、大学で業務を行なう教職員に対しては、大学はいかなる対応・配慮を行なうべきでしょうか?」

 添付文書に記したとおり、年齢が高い職員の方は被曝のリスクが大幅に減りますが、基本的に注意すべきことはQ.2について記したことと同じです。

Q.4

「大学の場合、体育や部活動など、屋外での活動が多々ありますが、屋外活動にはどのような対策が必要でしょうか?」

 3月15日から16日にかけて福島市に届いた放射性物質は今現在土地を汚しています。

 I-131は半減期が短いため、かなり減ってきてくれていますが、Cs-134は半減期が2年、Cs-137は半減期が30年ですので、土地の汚染は長く続くでしょう。

 したがって、できるだけ土に触れない、土に触れた後は身体を洗うなどの配慮が必要です。

2011年4月7日

大阪府泉南郡熊取町朝代西2丁目1010

京都大学 原子炉実験所

                 小出 裕章

URL: http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/index.html

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<中里見さんの質問>

小出裕章さま

福島大学教員、中里見博と申します。

福島では小学校等の4月開始が問題となっておりますが、福島大学は5月12日から新年度開始が決まっております。ただ、学内には異論もあり、私の属する学部は、福島原発の現在の状況が続く以上、新年度の開始をさらに延期すべきだと全学に提起しております。しかし、ほかの学部はおおむね5月12日開始に同意しており、延期は難しいのが現状です。

そうした状況におきまして、小出さんに大学再開についてご意見をおうかがいできないでしょうか。ご多忙とは存じますが、ぜひともご意見をお聞かせいただきたいと思います。どうかよろしく願い申し上げます。

福島大学では、先日から大学HPに、大学での放射線計測データを公開しています。

http://www.rb.sss.fukushima-u.ac.jp/user/taka/radiation/

Q.1

福島大学では、5月はじめに授業開始を予定しているのですが、学生および教職員の安全と健康の観点から、5月授業開始という決定は、どのようなリスクを伴うものとお考えですか?」

Q.2

「仮に5月開始を実行した場合、学生に対する対応・配慮として、最低限いかなることを大学は行なうべきとお考えですか?」

Q.3

「同じく、大学で業務を行なう教職員に対しては、大学はいかなる対応・配慮を行なうべきでしょうか?」

Q.4

「大学の場合、体育や部活動など、屋外での活動が多々ありますが、屋外活動にはどのような対策が必要でしょうか?」

以上です。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

中里見博

福島市

福島大学行政政策学類

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