鬱で仕事を辞める前の4年ばかり、掛軸を作る仕事を
していました。全部が手作業の本格的な表装ではなくて、
かなりの部分が機械化されて、毎日何百本もの作品を
表装して、単価を安くするやり方の会社でした。
それでも全部が機械化できるわけではなくて、人間の
手作業でなければ無理な行程も多く、それなりの慣れと
スピードと器用さを要求される仕事でした。
(でも時給はめちゃ安かったですけどね(笑))
幼児から100才のお年寄りの作品まで、毎日プロアマ問わずに
多くの書画を見る機会だったので、それは眼福だったと
思います。でも使う布の種類は限られていて、基本から
逸脱出来ない世界のことですから、デザインのアレンジ
とかはほとんど不可能でした。
そうこうしているうちにふと空しい気分に
なったんですよね。いくら頑張って仕事しても、
出来上がる作品は所詮他人のものだ、
というのに気がついて。
他人の作品を生かす仕事もそれはそれで素敵ですが、
自分はもっと自分の世界を表現してみたい欲求が
強いみたいです。
いま現在、家事も満足に出来ない状態なのに、ただ
PCでの作業だけは苦にならない、という現実が
なんだか天啓みたいにも思えたりしています。
やっぱりセルフプロデュースするのが一番いいのかな。
ただ、もどかしいことに充分な資金と体力がないのが
すごく残念ですけど…。そういう方向性を大事に
してみたい気がします。
(いまここに自由に使えるお金が200万くらいあれば
いいんですけどね。ギャンブルでもしない限り
そういう資金を作るのは無理っぽいですけど…(汗))