「陽のあたる家〜生活保護に支えられて〜」
読みたかったこの本、やっと読めました。
夫婦と子供2人のごくごく普通の家族に待っていた日常生活の落とし穴。お父さんの病気、失職。それをきっかけに順調だった歯車が狂い始める、という、本当に誰でもがそうなる可能性がある問題が描かれています。
頑張りすぎた妻までが体調を崩して倒れてしまい、生活保護を受けることになるのですが、その申請や手順、誤解などなど大変にわかりやすく描かれています。
そしてまわりの人々の偏見なども。そこにはもちろん誤解があるけれど、ある種の嫉みやひがみもあるなあ、と、フィクションだからよくわかるし、それなりに理解出来ることも少なくありません。
とにかく必要不可欠なセーフティーネットについて、感動と共感を呼びながらとても丁寧に描かれているという印象を受けました。巻末のスピンオフ短編、長女がホームレスの人たちへの理解を深め支援を手伝い始める、というのも良かったな。作者の目線が常にすべての人に対して対等なんですね。やはりこれが人が社会で生きる上でもっとも基本的に大切なことであるな、と思います。
日本政府はますますおかしいですね。その感もいっそう強くなりましたが…。
現在困っている人や悩んでいる人、そして日ごろ関心が薄い人たちにこそ知って欲しいし読んで欲しい作品です。わかりやすいのがなによりベスト。
どうだろう。日本中のすべての病院の待合室とかに置いてもらえないのかなあ。手に取り、眼にして知ってもらえる機会が増えていいんじゃないかと思うのですが…。あと公共の施設とかにもね。