読書体験は世界との出会い
昨日の本の整理と処分に関係する話ですけど、私もそれなりに電子書籍も読むんですよねー。すでに紙書籍じゃ絶版になっているものもありますし…。
ですが、40年くらい前、自分が初めて働いて、そのお金でコツコツと買い集めていった古典の全集などは今でもちょくちょく開きますし、やはり思い入れが強くて手放せない本です。
全巻を持っているわけではありません。岩波と小学館と新潮の全集の、古代から中世辺りのものがメインです。世阿弥くらいまで。
私にとってはその辺が「古典」の象徴になっています。世界というよりは「日本の古典」だなあ。
「読書」ということについては、本当に1歳になる前から、どこに行くにも絵本を抱えている写真が残っています。祖母と毎日のように京都御苑の中に遊びに行っていましたが、それすら「きょうこちゃん。御所行こか?」と言われると、条件反射のように本を抱えていたらしいです。大人になってから祖母に言われてました(^_^;)
明治30年生まれの祖母は父親の再婚のために、わずか8歳で奉公に出されたので、小学校も1、2年しか行っていませんでした。でも自分で努力して学んだようで、新聞くらいは読むようになっていました。
その祖母がいつも絵本を読んでくれるんですね。忘れられないエピソードとして「はまぐり姫」という話があります。
その本をたまたま最初に読んでもらった時に、どうも火鉢の前でスルメを炙って食べていたらしく、それが「海の匂い」を連想させて、「おばあちゃん、スルメ焼こう!」とせがんでいたのを思い出します。
お話は忘れてもスルメだけはしっかり覚えているという、条件付けの記憶(^_^;)
当時、講談社のゴールド版絵本というシリーズがあって、これが国内外からの物語を豊富に集めたカラー絵本シリーズでしたので、毎月、父の給料日に買ってもらえるのがとても楽しみでした。
三つ子の魂百まで
それでもって、祖母が読み間違えたのもそのままに記憶して、部屋の隅っこに寝転んで音読してたようです。おぼろげな記憶はあるけど。
家の中に散らばっていた百人一首の取り札を見ながら字を覚えて確認していって、どうも3歳くらいで自分で読めるようになっていた感じですね。
「恭子ちゃん、これくらい読めるやろ?」と幼稚園で入院した時に友達のお母さんがお見舞いでくださったのが小学中学年向きの本でしたから、その時には広く認識されていたみたいです。まあ、幼稚園の中にあった本は全て読み尽くしていたから当然か(^_^;)
母が毎月買ってくれていた子供向けの図鑑も好きでした。自然科学の方は苦手意識があまりなかったみたいで。学習と科学も両方読んでました。
これも毎月買ってくれていました。
私の時代にはライトノベルに準ずるものは、アメリカのジュニア向けの翻訳小説(なぜか小学校の図書室にあった)とか、「小説ジュニア」という少女向けの雑誌から生まれたもの、でもそんなに恋愛ものじゃなかった気がするけど…。これはのちに「コバルト」という雑誌になって氷室冴子さんや新井素子さんなどの著作を生み出して行くわけです。
小学生時代には江戸川乱歩のシリーズや星新一さんを初めとするSFのジュニア向けのシリーズなども刊行されていました。結構大作をジュニア向けに翻訳したイメージだったかな。あと眉村卓さんや小松左京さんなどの作品もあったと思います。このころに早川のSF文庫も創刊されていたと思います。萩尾望都さんの影響でブラッドベリとか読んでました。
あと、自然な興味の延長として、国語の授業に出てきたテキストの原文はほとんど探して読んでいました。教科書って入り口としては優秀なきっかけなんですよね。
のちにふと魔が差して、雑誌コバルトに一度だけ送ってみた作品。カラーとモノクロですが、カラーは残ってなくて、モノクロは会社でお願いした紙焼きだけが残っています。職権乱用?? (^_^;) まあ、最終には残らなかったからいいよね? (^_^;)
いつも友達といるように
ちょっと背伸びしたい高校に入った頃は外国の文学にも手を出してました。「武器よさらば」とか「アンナ・カレーニナ」とか「ジェーン・エア」とか「嵐が丘」とか。ロシア文学にはいまいち馴染めなかったけど。
それらと並行してやはりSFとか大河ドラマの原作とか、民俗学関連の本とかすごい乱読ですね。今でもそうですが。
うちの親も友達のご両親も私が他の何をもらうよりも本を喜ぶもので、本ばかり買ってくれますし(^_^;)
子供だから、面白いと思ったら「面白い」という動機だけでなんでも読むんですよねー。勉強になるとか、成績が良くなるとか、諸々効果なんて考えていません。ひたすらに「面白いから」読むだけ。それでいいんだと思います。
「面白い=美味しい」でそれだけ身につくから。
結果が表面化するのは何十年も経ってからですけど、別にそれでいいんだと思っています。今頃になって「あれ?こういう多様な視点はどこで獲得したんだろう?」とふと思うことがあるんですが、実際の経験以外には読書から得たものが大きいと思います。でもまあ、それもおまけですね(^_^;)
私は本と共に歩んだ「楽しい時間」が何よりの贈り物だと思っています。だからこれも死ぬまで続くでしょう(^^)
私の友達はなんと豊かな顔ぶれだったのかと思います(^^)
来月は十二国記の新刊(全4冊)も出るし。予約したし(^^) ややこしい時期ですが楽しみにしています。
こういう積み重ねで床が抜けそうな冊数になるんだなあ…(ーー;)