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両親の介護も一段落 双極性2型障害と気長に共生中

「火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 」

よく引用させていただく、「いつも空が見えるから」のYukiさんは本の紹介がとても上手い人だと思います。

 

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しかも興味の対象が私と似ているので、紹介されている本を見ると、いつもとても読みたくなって、ついついAmazonでぽちっとやってしまうことが多いですね (^_^;)

 

先日のこの記事で紹介されていた

「独特すぎる個性で苦労してきた人の励みになる脳神経科医オリヴァー・サックスの物語」

 

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これももちろん購入したんですが、こちらを読むより前に著作を1冊。

 

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)

 

 を読みました。

 


これがとても面白かったです。ノンフィクションですが。

 

あまりポピュラーではない、はっきり言って珍しい事例で脳に障害が起きてしまった人たちの人生いろいろ。

 

たとえば視界が事故の後遺症と思われる、いきなり見える世界がモノクロになってしまった画家や、幼い時に失明し何十年も見えない世界で暮らしてきた人が突然光を取り戻した時のとまどいや、サヴァン症候群の天才画家少年や、計7名の患者のことが描かれています。

 

画家にとって、いきなり世界がモノクロになってしまうという体験は想像するに余りある衝撃だと思います。赤いトマトが黒に見えるとか、そういう衝撃。この人がもしも漫画家だったら、仕事では困らなかったかもしれません。きわめてはっきりしたモノクロ線画の世界ですから…。でもカラー前提の場合はね…。

 

それだけじゃなくて、まわりの世界がすべてグレーですから…。どんなに味気ないだろうかと思います。それでも画家は諦めず、やがては新しい方法を見つけていくんですね。人間の脳というのは本当に可逆性に富んだものだと感心します。諦めたらそこでストップしたかもしれませんが、彼は諦めなかった。それはとても大切なことだと感じます。

 

 

 

個人的に一番印象に残ったのはこの画家のケースと、本のタイトルになっている「火星の人類学者」こと、テンプル・グランディンさんのケースです。この方は自閉症なのですが、それでも動物学で博士号を取り、大学で教え、事業の経営もしているそうです。

 

動物の気分やしぐさなら直感的にわかるけど、人間のそれは同じように理解できない、というのも自閉症ゆえになんでしょうね。

 

人に抱きしめてもらう、という行為が怖いから、かわりに機械に抱きしめてもらう、というので、彼女は独特に圧迫感をを得ることが出来るオリジナルな装置を作り、それを使うことでリラックス感を得ています。人ではなく機械、細やかな人の心の機微はわからない。だから自分には仕事しかない。

 

「もし、ぱちりと指をならしたら自閉症が消えるとしても、わたしはそうはしないでしょう。ーーーなぜなら、そうしたら、私がわたしでなくなってしまうからです。自閉症は私の一部なのです」自閉症には価値のあるさまざまな面があると信じているから、彼女は自閉症を「根治する」という考え方に不安を抱いている。1990年には、彼女は次のように書いた。

 

自閉症のおとなや両親はよく自閉症に腹を立てます。自然か神かわからないが、どうして自閉症躁鬱病、分裂病などという恐ろしい状態をつくり出したのか、と考えるのでしょう。しかし、もしこのような状態をつくりだす遺伝子が絶滅されたら、恐ろしい代償を支払わされるでしょう。少しばかりこうした素質をもっているひとたちは創造性が豊かであるかもしれない、あるいは天才であるかもしれません…科学がこうした遺伝子を絶滅させたら、世界は会計士に支配されるかもしれないのです」

ーーーーー本文より

 

自閉症」をそのまま「双極性障害」に置き換えてもいいですね (^_^)


こう記した彼女は自信の自閉症を否定しませんでした。それも含めて自分のアイデンティティを形成している、と受け止めていました。…これは私自身にもとても共感できる大切なことです。病気や障害や「人とはちょっと違う部分」こそが「私らしさ」を形成する中心的な要素かもしれません。

 

 

 

諦めない人たち。自分の脳の障害で、出来なくなったり変更を余儀なくされたことは多々あるけれども、それでも諦めない、というその人達の気持ちが伝わってきます。諦めないことで新たに生まれる可能性があるんだ、という事実ににはとても勇気づけられます。

 

諦めないというのはありのままを受け入れて自己を見つめ、そのうえで出来ることを考える、ということです。自分のもちもので生きる、あるいは勝負する、ということでしょうか。この本全体がそうありたいと望む人たちへの応援になっているような気がします。

 

 

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