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両親の介護も一段落 双極性2型障害と気長に共生中

「風に立つライオン」

さだまさしさんは私よりいくつか年上ではありますが、世代的は大差なく、ほぼ同じ時代を見つめ、体験しながら生きてきた人だと思います。

 

そして私は「グレープ」のころから波はありましたが、ほとんどずっとおつきあいしてきた微熱系のファンです。線が細い印象や、歌詞などから、若い頃は「軟弱だ」とか評されていましたが、実はその強さは現在みなさまがご存知の通り (^_^;)

 

私がファンとして最も熱心だったのはやはり20代で、ファンクラブにも入っていましたし、コンサートにも行きました。「長江」の本なども購入していました。

 

ステージトークに笑っているうちに、それらが本の形になり、ああ、やっぱりこの人は本も(も、なんだな。羨ましい)書く人だよな、と確信していたら、やはりその通りになりました。 処女作「精霊流し」はかなり自伝的な要素が強い作品でしたが、以降は本当に優れた小説を書かれてきました。 昨夜はふと気が向いて、「風に立つライオン」を読みました。

 

 

同タイトルの名曲を作品化されたものです。 歌詞はこちら。

 

「僕は『現在』を生きることに思い上がりたくないのです」というのはすごいな、と思います。 この歌にはモデルになったお医者さまが存在します。 私は私なりにその方のイメージを作っていたけれど、本に描かれたキャラクターはそのイメージとは微妙に違うものでした。でも違和感はなく、すんなりと納得出来るものでした。

 

ケニアで働く医師、紘一郎は傷ついて心を閉ざした12歳の少年兵と出会い、身体だけではなく、少年の心も癒していく。紘一郎に救われた少年は自ら医師を志す。 紘一郎が非業の死を遂げたのち、志どおりに医師となった青年、ン・ドゥングは東日本大震災直後の東北を訪れ、避難所で紘一郎によく似た青年・木場と出会う。 生命と志と愛と信頼のバトン。繋げられていく希望と想い。

 

特別なことが書かれているわけじゃない。でもあらゆる言葉に重みがある。さださんはどんなにか「濃ゆーい」人生を過ごして来たんだろうなあ、と本当に思う。彼のいままでを結構知っている方だと思っていたけれど、彼の中にはまだまだ届かない深い澄んだ泉が存在しているんだなあ、と思います。

 

避難所の青年達にも実在のモデルが存在する、というのは感動しました! いま現在を懸命に生きるすべての人たちに重厚なドラマがあって、その存在を暗示させつつ、決して重苦しくさせることなく、描ききる作品は見事だと思います。

 

いままで7000回のコンサートかな、それを続けて来られただけでもすごいのに、同時に深い想いでらゆることを真摯に見つめてこられたこともすごいなあ、と思います。まあそれらのことはとっくの昔に歌の中に現れていたことではありますが…。 ああ、でもとてもいい読書時間を得ることが出来ました。満足。 ラストに動画を貼り付けておきます。

 

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