昨夜はあまり体調が良くなくて、少しだけにしようと思ったのに、読み出したら面白くてやめられず、結局ラストまで読み終えてしまった。
それがこの本。
文庫化されたので手に取った2巻。中身の濃い内容だった。
映画化もされているようだけど、物語の背景である信州の自然美は映像にして価値あるものだろうなあ…。でももとより原作の描写も素晴らしいけれど…。
主役は地方の24時間、365日休まない病院に勤務する若き内科医。私が下手に要約してもつまらないので、興味のある方は是非ともお読みください。…って、本好きな人ならば相当の方がご存知でしょうが (^_^;)
「良心に恥じぬということだけが、我々の確かな報酬である」
簡単そうで、実はとても難しいことだと思う。
私はお医者さんというのはスペシャリストだと思うけど、それ以前に人間であるのを忘れることはないけれど、生命の瀬戸際にいる患者たちには、それこそ24時間、365日休まないことを医師に要求してしまうのかな…?それは苛酷すぎると思う。
で、この作品にもそういう課題は大きなテーマとしてのしかかってくる。大変な課題だと思う。
それにしても。
昨年の「ツナグ」なんかもそうだけど、私は基本的に生と死が表裏一体となった世界で、生命を、こころを紡ぎ、つなぎ、手渡し続けていく人々の物語が好きなようだ。
もうどこの誰の言葉だったかも忘れたけど、はるか昔、10代の頃に触れた言葉がある。
「人間には2種類がある。生きることについて、常に考えなければ生きていけない人間と、そういうことに斟酌しなくても生きていける人間と」
これを聞いた時、私は紛れもなく前者だと思った。
それから何十年経っても、やはりその本質に変化はないようだ。これは結構苦しいことだけれど、そうしか生きられないのだからどうしようもない。
終生付き合う病と同様に、懸命な人間たちを愛していけるといいなあ、と願っている。共に涙を流しながら。