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両親の介護も一段落 双極性2型障害と気長に共生中

読了至福の「カムイ伝」&「カムイ外伝」

特装版と文庫版が混じっていますが、カムイ伝 第一部」15巻、「カムイ伝 第二部」12巻、「カムイ外伝」12巻、読了いたしました。

 

1冊400ページ近くあるので、普通のコミックスに換算すると、その倍くらい…7、80冊分くらいあるかもしれません。

 

 

いやー…、凄かったですわ。映画のスケールの大河ドラマを4、5年分まとめて観た気分。いや、映画のスケールでもフォローしきれないもっと凄い表現と描写だったんですが。

 

生きている間に読めてよかったよ~。すごい幸せだと思いました(^_^;) 12、3歳の時に「読んだ」と思っていたのは一部の前半か2/3くらいまでだと思います。それと「外伝」の前半くらいかな。

 

多分、町内の貸本屋さんで借りた時にはもちろん完結していませんし、全部は置いてなかったんだと思います。

 

 


どこまでネタバレ書いていいんだろう?

 

それぞれにかなり間を置いて描かれているので、メインテーマや視点が微妙に変化してきます。主役は3人。日置藩という架空の藩ですね。(モデルになる場所をいろいろ想像しているけど、まだ確定できません。山も海もあるし、火山もある。京から江戸のあいだの太平洋側かな?でも言葉は違うしな~??)

 

奸計によってお家断絶させられて、ただ一人生き残った城代家老の子息の草加竜之進、下人(ほぼ奴隷のような)でありながらご禁制の学問で知恵と知識を得、持ち前の行動力で百姓たちのみならず、非人からも人望を得る正助。非人の身分から逃れ、自由になりたくて忍びになったけれども、厳しい掟に反発し、抜け忍となって追われ続けるカムイと。

 

 

 

一部はこれが描かれた当時の時代背景を反映していると言われていますし、身分差別ゆえに苦しむ人々と、それと闘う人々がメインに描かれています。さすがに私は60年安保というのが記憶になくて、当時の気分とか空気とかがわからないんですが、でも、このいわれなき身分差別のひどさや理不尽さはいつの時代でも共通のものだと思います。それに対する怒りも。

 

「流れる赤い血はみな同じだ」と竜之進は潜み隠れた非人の部落で生活しながら実感し、正助はカムイの姉のナナと愛し合い、制裁を受けながら、正式な夫婦と認められなくても結ばれます。

 

百姓と非人、本来は上から押し付けられた身分や仕事のせいで、むしろ憎み合う関係であったものが正助たちの努力で、共同で農作業に精を出し、土木事業を成し遂げ、お互いに信頼の絆を作っていきますが、そうなると面白くないし、困るのが支配者である領主たちですね~。いろいろと工作が入ります。そういうものを陰ながら阻止しようとするのが抜け忍のカムイ。幕府の秘密とかも絡んでくるから、よけいに大変になるんですが。

 

あと、一部で印象に残るのが商人である夢屋。彼は経済で自分の夢を成し遂げようとしていたりします。こういう人、いま現在もたくさんいますよね (^_^;)

 

まあ、ものすごい人数の登場人物なので、一言ではとても言えませんが、日置の百姓と非人たちが起こす一揆が一部のクライマックスなんですね。

 

 

 


描かれた順番ではカムイ外伝が次になります。

 

「外伝」だけあって、常に追われる立場であるカムイと、彼を追いつめる敵、彼と出会う人々とのエピソードで構成されています。

 

ひとつのところに長くはいられない、まさしく「風」の身。いくら天才忍者でも人間ですから、重傷を負って、助けられたり、行きがかり上、誰かを助けたり。普通の人間であれば、そのうちの誰かとはもっと親しくなれたかもしれないし、寄せられる好意に応えることが出来たかもしれません。

 

でも、それも虚しく立ち去らざるを得ない。外伝に対しては一番強く感じるのが「切なさ」かなあ、と、思いますね。

 

 

 

二部はね、結構具体的な地名が出てくる箇所も多いけど、お猿さんたちのエピソードも結構多いです (^_^;)(でも面白いですが)

 

書いていいのかな?一部のラストで死んだと思われていた正助、竜之進、カムイが再会し、連れ立って旅するシーンがあります。二部にのみ出てくる音弥やアヤメ、鞘香なども印象に残ります。

 

二部は登場人物たちがそれぞれに自分の生きる道、生き様を模索している感じですね。それも時代の気分を反映しているといえばそうだろうな、と思います。これもまた身近なテーマではありますし、面白かったですよ。

 

ラストシーンで子供の時に出会っている白狼のカムイと人間のカムイが再会することになります。人と狼はまた友でもありました。狂犬病に犯された巨大な野犬の群れに対決する狼の群れと、それに手を貸すカムイ。かれは同じく抜け忍となった甥の一太郎(正助とナナの長男)を連れています。

 

白狼のカムイもろともに狼の群れが死に絶え、カムイは残された白狼の子を見つけます。

 

 


人のカムイにも白狼のカムイにもちゃんと次世代がいるんですよね。そうか、やっぱりそういうことなのね。課題を繋ぐのも夢を繋ぐのも大事なテーマなんですよ。必ずしも血を伝える必要ではなくて、「想い」や「願い」を次世代に伝えること、繋ぐこと、それはやっぱりとても大切なことだと感じました。

 

白土さんはだから「完結させること」に対してあまりこだわりがないのかもしれませんね。好きなキャラクターのその後はみなさんで想像してください、と言われているような気がします。

 


いままで…。偉大な作家や漫画家が亡くなられると、未発表の作品は永遠に消えてしまうだなあ、と思っていたけれど、実はどこかで誰かの心の中で、生き続けていて、はるか未来の「描かれる時」を夢見ているのかもしれないなあ、と思います (^_^;)

 

 

 

この文章、評論とかなにも読まないうちに描いているので、正直な気持ちだと思います (^_^;) たぶんもっと若いころに読んでいたら、もっと違う部分に眼がいったかもしれないなあ、と思いつつ…。また是非再読したい名作でした。

 

…至福の時でした… (^_^)

 

 

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読書感想文の宿題が大嫌いだった私が書きました〜 (^_^;)

だから正解はありません。どこまでも個人的な感想なのね〜。

 

 

 

 

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