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両親の介護も一段落 双極性2型障害と気長に共生中

政治に対する絶望のなかで 小出裕章

小出先生の絶望感は私たちが想像する以上に深いのかもしれないなあ…。

それでもずっといままで、真摯な問いかけと訴えを続けて来られた姿には

ひたすらに頭が下がります。

先生一人では無理なことでも、多くの人数ではあるいは可能になるかも

しれませんし…。そういう変化を願ってしまいます。

いつものように以下より転載します。

http://hiroakikoide.wordpress.com/

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5月24日 政治に対する絶望のなかで 小出裕章

要約

・(リスナーから行政監視委員会の感想。先生の想いがよく伝わったと。まず今日のニュースから。2号機と3号機でもメルトダウンが起きていたと東電がやっと認めた。東電は、原子炉の冷却は安定的に進められており今後放射性物質が大量に放出されることはないとしているが?)いいところと悪いところがある。私の考える最悪のシナリオは、メルトダウンが起きたときに水蒸気爆発が起こること。それが起こると圧力容器も格納容器も破壊され放射性物質が大量に放出される。まだ水蒸気爆発は起きていないが、東電が言う通りメルトダウンが既に起っていたとしたら、私の最悪のシナリオは回避された。ただし一つ困難がある。既にメルトダウンが起きたということは、炉心に水がないということで、それは圧力容器に水が貯まらないということを意味している。穴が空いていたらそこから漏水する。溶けたウランもそこから流れ出て、格納容器に落ちる。そこには水があって、何らかの冷却は出来ているだろう。だが、格納容器にも穴が空いていると思うようになった。東電がやろうとした水棺も、だから不可能。実際に水棺は出来なかった。最近になって原子炉建屋の地下に大量の水が溜まっていると言い出した。これは格納容器が破損していて、そこから原子炉建屋に流れ込んだということ。外から水を入れてそれが汚染されて溢れてはいけないから循環式冷却回路を作るべきと私は言ってきたが、破損がひどくてそれも不可能と思うようになった。

・(新しい何かが必要?)冷却をあきらめて全体を覆って放出を抑えるということしか手段はないと思うようになった。

・(国会で福島県の土壌汚染について議員から質問があった。今後福島ではどういう生活になるのかという質問。このことについて再度お願いしたい。)伝えにくいことだ。現在の福島の汚染は大変なもの。被曝はあらゆる意味で危険であり汚染地域から逃げてほしいと思う。だがチェルノブイリ事故のときの強制避難の基準を適用すると、800平方キロメートルという広大な面積から避難することになる。日本の現在の法律(年間1ミリ)を適用すると、福島県全域に匹敵するような地域を無人にしないといけない。それを考えると途方にくれる。

・(国会議員から手応えのある反応はあったか?)昨日は特にそうは思わなかったが、30人の委員がいたし、私をその場に招いたという事実もある。なぜ招いたのかということについては、それなりのいきがかりがあったのだろう。行政監視委員会の関係者の努力もあったのだろう。委員長も考えてそれなりの判断をした。ここまで来た以上はそれなりに受け止めてほしい。

・(昨日文科省で子どもに対する20ミリという基準に対する抗議行動があったが、疎開をどう考えるか?)真剣に考えないといけない。汚染地帯からの全員避難が難しければ、こどもだけは守らないといけない。どろんこになって遊べる場所を確保してほしい。こどもたちが苦痛に思わず楽しく過ごせるサマーキャンプのような場所も作らないといけない。

・(国会の委員会のあと院内集会に参加されたと聞いたが?)行った。発言しにいったのではなく、元気をもらいたいと思って行った。半分はこんなことを招いてしまって申し訳ないと思った。沢山の人が集まっているわけで、知恵を集めてこどもを守ることを実現したいと思った。

・(昨日ガンジーの言葉を紹介されたが、どういう思いで?)7つの社会的罪だ。理念なき政治、人間性のない科学、道徳なき商業といった言葉を紹介したのは、原発を進めてきた日本の形を反省してほしいという想い。

・(原発への警告を早くから続けてきた先生の声はこれまで国に届いていなかったが、長年の思いは伝えられたか?)割り当ての15分では言いたいことは言えなかった。が、周到に準備をしてくださった方たちがいる。こんな機会はもうないかもしれない。これまで政治の場に出ないようにしてきた。絶望してきたからだ。でも政治を動かさないとだめだと皆から言われたこともあり、一度はということで行ってきた。

・(事故調査委員会には先生のような人がふさわしいと思うが、声がかかったら出かける?)行かない。

・(なぜか?)政治は、私が経験した限りでは、すべて予め決まっている。学者の発言では国家の根本は変えられない。国に対する学者の従属、協力が続いてきた。だから私は足を踏みいれるのはやめていた。

・(今回の事故は政治の形も変えつつあると言えるが?)マスコミに期待したい。

・(マスコミの付け焼刃の知識では限界があり、先生のような人が中から声をあげてほしいと思うが?)いままで感じてきた絶望を伝えるにはあまりにも時間が足りない。

・(一日ゆっくりいつか聞きたい)機会があれば。

・(国会議員原発事故について知らなすぎることに絶望した。どうか?)私が呼ばれたのは行政監視委員会。行政がどういうことをしてきたのかを話した。間違いは行政だけでなく、立法府もおかしてきた。立法機関に属する議員ひとりひとりにも考えてほしい。そういう機会があればそちらでも話したい。

・(法律を変えたいという意欲を昨日議員に感じたか?)感じなかった。

・(リスナーからの意見。国会は先生の声をきいたという事実がほしかっただけでは?)それはこれまでも常にそうだった。声を聞いてやったという形で責任逃れをずっとしてきた。それが絶望の一つの理由でもある。

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