昨日の夕方の雨で待望の秋の空気がやってきた。外を吹く風が昨日までとは違って、爽やかに涼しい。なんだかほっとする。秋が深まっていく感覚が好きだと思う。
でもひどい倦怠感は相変わらず。けれども朝からまた郵便局と食料の買い出しには行ってきた。気力で動かないと、いまは家族のほかの誰もが動けなかったりするしね。
こういう家事などに気力を奪われてしまうと、本当にあと出来ることが少なくなってしまう。お絵描きも洋裁も仕事も家事もこなせていた頃の自分とつい比較してしまうので、今の自分がどうにももどかしくて仕方がない。気を緩めると寝たきりになりそうな倦怠感はかなり手強い敵だと思う。
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「夕凪の街 桜の国」こうの史代・著
「蒼穹の昂」に続けて読んだので二日続けて涙腺がすっかりもろくなってしまった。たくさんの賞を受けた漫画で、もうかなり有名だとは思うけれど…。
わずか100ページ足らずの連作なんだけど、その何倍もの内容がぎゅーっと詰まっている。原爆が投下されて10年後の広島の街から物語は始まって、現代の東京に移る。
トーンを一切使わない情感のある画面。さりげなくかかれた風景の中にそれらに対する愛情が静かに存在しているような…。「漫画」という媒体でまだこれだけのことが語れるんだなあ。すごいよなあ。
でもこの内容をことこまかに語るのはヤボだと思う。ただ一人でも多くの人がこの作品を読んでくれたらいいな、と思う。そしてそれぞれの心の中に浮かんできたものを大切にして欲しいと、ただそれだけを願った。
この作品が抱えるテーマに対して、こういう月並みな表現はどうかとも思うけど、本当に珠玉の作品だと思う。